新しい日本語能力試験 新形式の問題(2)

2010年から始まる新しい日本語能力試験
前回の記事では「読解」「文法」分野での新形式の問題についてご紹介しました。
今回は従来より大きな割合になる「聴解」について例題をみながら確認してみましょう。

【聴解】
従来は「絵がある問題」「絵がない問題」という2種類の形式が出題されていました。
新試験は「絵がある、ない」という分け方ではなくなるようです。

その中で、今までにない形式の問題と大きく形式が変わる問題についてご紹介します。

~質問文が事前に流れない問題がある~
・概要理解の問題~まとまりのあるテキストを聞いて、内容が理解できるかどうかを問う(テキスト全体から話者の意図や主張などが理解できるか

現行は、それぞれの問題ごとに

 ・状況説明が流れる
     ↓
 ・質問文が流れる
     ↓
 ・まとまりのある会話・説明等が流れる
     ↓
 ・質問文がもう一度流れる

という流れになっています。
新しい日本語能力試験にも同じ形式の問題は残っています。(ポイント理解の問題等)しかし、
新試験のうち、「概要理解」の問題は、

 ・状況説明が流れる
     ↓
 ・まとまりのある会話・説明等が流れる
     ↓
 ・質問文が流れる

というように、事前に質問文が流れません。場面や状況が簡単に示されるだけです。旧日本語能力試験ではこの事前の質問文を聞いて、どのポイントに注意して聞けばいいか頭の準備ができたわけですが、これからは必ずしもそれではうまくいきません。
しかし、逆に言えば、最初に質問がない問題は会話・説明の全体としてどんな内容かを把握できるよう注意して聞けばいいということになります。
出題前に「まず質問を聞いてください」ではなく「まず話を聞いてください」とあったらこの「概要理解」の問題ということになるようです。

例題を見てみましょう。

【N1】

-大学の先生が話しています。

M:
 今日は最初の授業なので、授業内容について簡単に説明します。えー、犬の祖先は、今の犬とは、外見だけではなく、習性もずいぶん違っていました。ちょっと例をあげてみますと、進化の結果、犬は、よくほえるようになりましたが、犬の祖先はめったにほえませんでした。これはですね、人間の都合によって、ほえる犬が選択されたためです。それから、進化の過程で形を変えた動物もいます。ある鳥は、細長い花のような蜜を吸うために、くちばしが以上に長くなりました。あと、住む環境に合わせて、形を変化させた物もいますね。えー、この授業では、こういう現象をみていきたいと思います。

-この授業で取り上げる内容はどのようなことですか。
 1.動物の種類
 2.動物の住む環境
 3.動物の進化
 4.動物と人間の関係
 
 
【N2】

-テレビでアナウンサーが通信販売に関する調査の結果を話しています。

F:
 皆さん、通信販売を利用されたことがありますか。買い物をするときは店に行って、自分の目で確かめてからしか買わないと言っていた人も、最近この方法を利用するようになってきたそうです。10代から80代までの人の調査をしたところ、「忙しくて買いに行く時間がない」「お茶を飲みながらゆっくりと買い物ができる」「子どもを育てながら、働いているので、毎日の生活になくてはならない」など多くの意見が出されました。これからもますます利用者が増えていきそうです。

-通信販売の何についての調査ですか。
 1.利用者数
 2.買える品物の種類
 3.利用方法
 4.利用する理由

※実際には上記はすべて音声として流れます。

スクリプトを読めば、これらの問題が文字通り「概要」を問うていることがわかります。

この「概要理解」の問題は、形式は変化していますが従来からあった問題です。既に数多くの問題集などが販売されていますのでそれを使って十分練習することが可能です。

~相手の発言に対してどう答える?~
・即時応答~短い発話を聞いて、適切な応答が選択できるか

新しい日本語能力試験では「即時応答」という形式が加わります。ある発言や質問に対して、どう答えるのが適切(自然)かを問う問題です。
まずは例題を見てみましょう。

【N1】
M: あーあ、今日は、お客さんからの苦情が多くて、仕事にならなかったよ。
F:
  1.いい仕事、できてよかったね。
  2.仕事、なくて大変だったね。
  3.お疲れ様、ゆっくり休んで。

【N2】
M: あれ、佐藤さんって、今日、お休みだっけ?
F:
  1.ええ、とても楽しかったです。
  2.はい、昨日休みでした。
  3.あ、午後からの出勤だそうです。

上記はすべて音声で流れます。問題用紙には絵も文字も一切書かれていません。
また上でご紹介した「概要理解」の問題は事前に状況説明があるだけで質問文は流れないものですが、この「即時応答」は状況説明すらありません。問題番号の後でいきなり発話がスタートします。いつまでも前の問題の答えを考えているとどんどん置いていかれてしまいます。まさに「即時」の応答が試される問題です。

ちなみに、この形式のみ選択肢は3つのようです。

また、この形式の問題は出題数が多めになっているようです。
(N1の場合:37問中14問)
ただし点数的に全体に占める割合は不明です。また、実際の問題数は発表の数値と変わる場合もあります。

新しい日本語能力試験では「文法」より「聴解」が重視されています。
その聴解の中でも「即時応答」はしっかりと対策をしておく必要がありそうです。
特に、主に日本以外で日本語の勉強を続けてきてあまり日本語のコミュニケーションをとってこなかった学習者にとっては苦戦が予想されます。
新しい日本語能力試験も従来と同様「会話」の試験はありません。その代わりにこの「即時応答」問題が新設されたという意味かもしれません。

日本以外に住んでいて日本語のコミュニケーションを取る機会はなかなか得られませんが、「日本語で話す」ということもこれからは日本語能力試験対策として重要になってくると思われます。

※例題はすべて『新しい「日本語能力試験」問題例集』より。。
http://www.jlpt.jp/j/about/new-jlpt.html

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