日本語文法
2010年から始まる新しい日本語能力試験について、前回の記事ではどう変わるかを見てきました。では、受験者はどう対応すればいいのでしょうか。
「知識」を入れることだけではなく、「使える日本語」の習得を目指そう!
★運用力重視へ
「文字・語彙・文法」が全得点に占める割合は従来よりも減っています。
現行(1級):約43%(文字・語彙と文法を合わせて)
↓
新試験(N1):33%(文字・語彙・文法)
逆に「聴解」の割合が増えています。
現行(1級):25%
↓
新試験(N1):33%
現行(1級):32%(2008年度)
↓
新試験(N1):33%
現行(2級):31%(2008年度)
↓
新試験(N2):33%
新しい日本語能力試験は「得点等化」が行われるため、単純に比較はできませんが、問題数から推測すると「漢字」問題の割合がかなり減るかもしれません。
(現行1級:11%程度→新N1:2%??)
今まで「漢字」問題で得点を稼いできた漢字圏受験者は要注意です。
また、「文法」についても問題数、全体に占める割合、ともに減ることが予想されます。
(現行1級:18%程度→新N1:14%??)
主に1級とN1について比較してきましたが、2級とN2についても傾向は同様です。
このことから文字・語彙・文法の知識ではなく「聴解」「読解」の力が重視されているという特徴が浮かび上がります。
文法問題については単なる知識を問う問題だけではなく、文を作る形式や長い文章の中での文型を問う形式が加わっています。
しかし、「漢字」や「文法」の割合が減っているから漢字や文型をあまり覚えなくてもいいかというと、そういうわけでもありません。
運用のための基礎力として漢字力、語彙力、文法力は従来通り必要です。
それに加えて限られた時間で読み取る能力、説明や会話を聞き取る力が試されるということでしょう。
★作文能力も重視
作文問題は出題されませんが、「文の並び替え」など文を作成する力を試す問題が出題されます。学習者は、良質の例文に多くふれた上で、文を実際に作ってみる練習が今まで以上に重要になると思われます。
★時間配分に注意!
従来は「文字・語彙」で○分、「読解・文法」○分という分け方でした。
新試験は「文字・語彙・文法・読解」すべて合わせて110分です。(1級の場合)
この110分の時間配分を間違えると、今まで以上に大きな影響が出てしまいます。
特に非漢字圏受験者は語彙や漢字の問題に時間を取られすぎてしまうと
読解をやる時間が足りなくなってしまう可能性もあります。
★苦手科目を克服しよう
新しい日本語能力試験では、各科目に「基準点」が設定されます。それより低い場合は合計得点が高くても不合格になります。今までは「聴解」が低くても「文字語彙」「読解文法」で点を取れば合格!ということがあったのですが、これからはある科目があまりにも低い場合は不合格になってしまいます。この「基準点」が何点になるかはまだ発表されていません。
以上のことを考えると、「実際に使える日本語」を習得することが、合格のためにはかなり重要になってくると思われます。
数多くの語彙や文型を短期間に詰め込んでいくよりも
・良い例文に触れる
・良い文章に触れる
・自分で実際に文を書いてみる
という練習をていねいにしていくことが大切です。
合格への近道なんてありません。
新しい日本語能力試験はどのようなものなのでしょうか?
何がどのように変わるのでしょうか?
合格への近道はあるのでしょうか?
http://www.jees.or.jp/jlpt/で「日本語能力試験ガイドブック」や「新しい日本語能力試験問題例集」がダウンロードできるようになっていますが、この中から気になる情報を挙げていきたいと思います。
新しい日本語能力試験、何が変わるの?
★試験方法は?
基本的には変わりません。今までと同じようにマークシート式のみです。記述問題や会話試験もありません。また、レベル別の試験によって合格・不合格が判定されるという点も変わりません。
★レベルは?
呼び方が変わります。(1級→N1、2級→N2)。
また、従来の2級と3級の間に一つレベルが増えます。
★試験科目は?
現行は・・・
・文字・語彙
・聴解
・読解・文法
の3科目ですね。
新試験はレベルによって違うようです。
| レベル | 試験科目 | ||
|---|---|---|---|
| N1 | 言語知識(文字・語彙・文法)・読解 | 聴解 | |
| N2 | 言語知識(文字・語彙・文法)・読解 | 聴解 | |
| N3 | 言語知識(文字・語彙) | 言語知識(文法)・読解 | 聴解 |
| N4 | 言語知識(文字・語彙) | 言語知識(文法)・読解 | 聴解 |
| N5 | 言語知識(文字・語彙) | 言語知識(文法)・読解 | 聴解 |
問題形式は少し変わります。今までにない出題方法があります。これについては後日詳しく見ていきたいと思います。
それでも全体的には一見あまり変わらないように見えますが、実は「知識」重視から「運用力」重視へとシフトされているようです。
★実施回数は?
年2回、7月と12月。(これは既に2009年度から変更されています。)
では、受験者はこの新しい日本語能力試験にどう対応すればいいのでしょうか。次回はその点について考えてみたいと思います。
ポイント-1-
""(ダブルクオーテーション)をつける
ポイント-2-
OR を駆使する
ポイント-3-
-(マイナス記号)を駆使する
では、実際にはどのような活用方法があるのでしょうか。
・この言い方とこの言い方、どっちが一般的?
例えば形容詞「つまらない」に様態「そう」がついた形は
「つまらなそう」
「つまらなさそう」
どちらがよく使われるでしょうか。
"つまらなそう" の件数と "つまらなさそう" の件数を比較します。
ダブルクオーテーションを忘れずに。
・一緒に使うことが多いことばは?
「~を紛らす」ということば。~の部分にはどんなことばを使うことが多いでしょうか。
まずは "を紛らす" で検索。
「気を紛らす」という使い方が多いことに気がつきます。
次に「"を紛らす" -"気を紛らす"」 で検索。
マイナス記号がポイント。
「気を紛らす」以外の「紛らす」を調べているというわけです。
「寂しさを紛らす」ということばが多いようです。
だったら今度は
"を紛らす" -"気を紛らす" -"寂しさを紛らす"
とします。
そのようにして多く出るキーワードを取り除いていくと、それ以外の使い方が抽出されます。
いわゆるコロケーションが判明していきます。日本語表現活用辞典
があれば簡単にコロケーションを調べることができます。
・ネットとは言ってもある程度きちんとした文章の中から検索したいのだが・・・。
例えば朝日新聞のサイトなら(一般的なブログなどと比べれば)きちんとした文が載っていると思われます。
キーワードの後ろに
site:www.asahi.co.jp
とつけると該当するサイト内の文だけが検索できます。
朝日でもいいのですが、読売やNHKは検索結果が多く出る傾向にあります。
読売→site:www.yomiuri.co.jp
NHK→site:www.nhk.or.jp
青空文庫も有名です。
site:www.aozora.gr.jp
ただ、出典の古さはしかたがありません。
・簡単なことばほど例文を探すのは難しい・・・。
例えば「つて」ということばの例文を探したいとき 「つて」と入れて検索してみます → たちつてと?? 記憶を辿つて?? どはつてん?? 酒に酔つて??
では、「つてを」で検索してみると・・・? → 「つてを頼って」などがでてくきます。 それでも、あいかわらず「酒に酔つて」が出ます。 「つて」と「を」が離れているものも検索されてしまうようです。それでは
「"つてを"」のように"(ダブルクオーテーション)でくくってみます。
やっといくつか目的のものがでてくるようになりました。
・1文の中にキーワードが2つある文型はどうやって検索する?
「せっかく~のに」
「~からといって~とは限らない」
「~にしろ~にしろ」
など2つのキーワードで間に何か言葉を挟むことによって文が成立するような表現の場合、単純に
「せっかく のに」
で検索してもうまくいかないかもしれません。「せっかく」と「のに」が大きく離れて別々の文にある場合も検索されてしまうためです。
それでも「せっかく~のに」ならいくつかそれらしい例文は見つかります。
しかし、
「~にしろ~にしろ」
のような文型だと
「にしろ にしろ」と検索しても「いい加減にしろ」等ばかりで目的の文はなかなか見つかりません。
そんな時は *(ワイルドカード) を使います。
ワイルドカードは「任意の文字列」を表します。
「にしろ*にしろ"」
と間にワイルドカードを挟んで検索することによって
「敵にしろ味方にしろ~」などの例文が見つかりやすくなります。
関連リンク(外部)
http://forty-n-five.boy.jp/blog/2008/07/google_1.php
あなたが知らない(かもしれない)Googleコマンドまとめ
http://www.popxpop.com/archives/2006/12/google_3.html
例文探しにGoogleを使うことがあります。
今ではすっかり一般的になっています。
しかし、ネット上の文章は玉石混淆。
授業で使える例文を探すのにはこつが必要です。
ポイント-1-
""(ダブルクオーテーション)をつける
~キーワード完全一致~
これには、「完全一致」の意味があります。
例えば複合動詞「寄せつける」の例文を探すとします。
単純に「寄せつける」と入れただけでは、「寄せ」と「つける」が離れているものもヒットしてしまいます。
これでは困ります。
そこでダブルクオーテーションを入れて "寄せつける" とします。
すると、「寄せつける」に完全に一致したページだけがヒットします。よく、検索結果の件数を見て
「1万件か。けっこう使われているな。」と
一般的な言い方かどうかをチェックしたりしますが、
このときは必ず""(ダブルクオーテーション)をつけて調べます。
ポイント-2-
OR を駆使する
~複数のキーワードのうち、どれかを含むページを検索~
複数のキーワードを入れると、通常は「AND検索」となります。
つまり、キーワードが全部含まれているページが検索されます。
複数キーワードのうち、どれか一つ(以上)含まれているものを検索するには、キーワードの間に OR を入れます。先ほどの例で言うと、"寄せつける" OR "寄せつけて" OR "寄せつけない"と
ORを入れると、より多くの例文が検索できることになります。
ORは大文字であることに注意。
「寄せつけない」のように実際には「ない形」で使用することが多い語彙は特にこの方法が有効です。
ポイント-3-
-(マイナス記号)を駆使する
~あるキーワードを含まないページを検索~
○○と△△がよく一緒に使われることはわかる。じゃ、それ以外にどんなことばと一緒に使う?
という時に使えます。
例えば、「うずめる」の例文を探してみます。
すると、「骨をうずめる」という言い方が非常に多いことがわかります。では、それ以外にはどんな用法があるのでしょうか。
そんな時は、 -(マイナス) 検索を使用します。
「うずめる -骨」
または「うずめる -"骨をうずめる"」
で調べてみると「顔をうずめる」など、「骨」以外の例文が見つけやすくなります。その他に、一つの語彙にいくつかの意味・用法があって
検索結果がことごとく調べたい用法とは違う用法の例文ばかり、というときや
ある分野のページばかりが出てきてしまう、というときにも-(マイナス)は使えます。
以上3つのテクニックを使うだけでもかなり検索精度は上がります。
実際の活用法を次回ご紹介します。